「………懐柔するのは難しいか、」
ぼそぼそと何かを言っている。
いやー、意味わからんよぅ。ハッキリ喋ってくんないとわからんよぅ。
ねー、ってか………
はやく便箋出してきてよ……。
なんて変な目で見てたのだろう、ギュッと鼻を摘ままれた。
「ひゃぅっ!」
「変な目で見るな」
いたいけな少女の鼻を摘むとは!何と言うデリカシーの無さ!
憤慨を露にして魔王さんを見ていたら暫く睨みあって――………
「……何が食べたいんだ」
「アップルパイにブルーベリーパイ、その他ここの名産とお菓子」
魔王さんが折れました。
ってか会ってそんなにたってないのに私の消費量を知られているという怖さ。
「パイ………?というのはグレイのことか?アップルとブルーベリーというのは、ヴィーノとスノーのことか……?」
困惑してる魔王さん。
いやいや、私も困惑してますよっ。グレイってなにーーーーー!
「えぇと、アップルは林檎って言って赤く薄い皮で包まれてて中が黄色っぽくて甘い果実。でブルーベリーが紫でちっちゃくて酸っぱい果実ですね。」
「………、わかったか?」
「えぇ、だいたいは。今すぐ作らせてきます」
魔王さんは後ろに控えていたってか扉の近くにいたニナに確認する。ニナは一礼すると扉から出ていった。