そんな薄汚いことを俺が考えているなんて、この女子生徒たちは微塵も思いはしないのだろう。

いつまでもそこに居て、満面の笑みで、長ったらしく話しかけてくる。

俺はそれに、短い受け答えをするだけだ。

こういう場には本当に向いてないなと、自分でも自覚している。


「久宮様、ここではなんですし、あちらでお話しません?」


女子生徒のひとりが、優雅な手つきで会場の中央付近を指し示した。

会場には生徒が好き放題に話をしていて、このホールの人口密度はどれくらいだろうと謎なところだが、中央はまたさらに密度が濃かった。

そんなところは断じて却下だ。


「遠慮する」


首を軽く振って、拒否の態度を見せる。

中央にもまた、女子生徒が数えきれないほど集まっていて、チラリ、こちらの様子をうかがう行動が見て取れた。

目が合う。その女子生徒は一瞬硬直して、慌てたように前方へと向き直る。

なおさら拒否だった。


「どうしてです?」

「こういう日なんですし、いいじゃありませんか」

「皆さん、久宮様とお話したいんですよ?」


残念ながら、俺はそんなことを小指の先ほども思ってはいなかった。

だから行かないと言っているのに、彼女等はめげない。

パーティーという名目が、女子生徒等の背中を押しているらしかった。


こうなることがなんとなくわかっていたから、来たくなかったんだ、俺は。

あーもう、マジでめんどくせぇ。


思い、ため息をつこうとした、その直後。