着地時に膝を曲げ、衝撃を受け流したがそれでも若干痺れが走った。

が、気にしている暇なんてない。


山田が倒れている。


それだけを考え、とにかく屋敷を飛び出した。

庭を目指して止まることなく、敷地を一気に駆け抜ける。

帰って来て早々、鈍器で殴られたような衝撃。

とにかく山田のところへ。


そうして辿り着いた、庭の一角。

時期折々の草花が綺麗に彩る庭の一角に、山田は倒れていた。

黒と白のメイド服を着ているから、更に目立ったに違いない。


「――山田っ」


呼ぶ。返事はない。

駆け寄って膝を折る。

山田のすぐ傍にしゃがみ、両手をついて顔を見下ろした。

瞼は閉じられている。

白い肌に、黒い睫が際立つ。


「山田っ」


もう一度声をかける。

すると、


「……むにゃ」


反応が返ってきた。

しかも、むにゃ、だ。


絶句した。

あまりの現実にため息すら出なかった。



コイツ、寝てやがる。