そんなのも3日続けば日常になってきて、5日目の今日はもはや習慣に思えてきたから不思議だ。

ついこの間までは、自分で起きて、誰にも挨拶をしないまま、学校へ行っていたのに。

今では朝からこの騒がしさで、おはようと言って起きるのだ。

こんな日常は、今までなかった。



「あーそうだ嵐さん」

「あ?」

「今日はお弁当を忘れずに持ってってくださいね」

「…………。は?」


素で聞いた。

素で聞き返していた。

わけがわからない。弁当とか今まで一度も持って行ったことはない。

何故ならウチの学校には学食があって、弁当なんてものはそもそも必要ないからだ。

しかし今、山田はハッキリと“弁当”と言った。


「……いきなりどうした?」

「やーなんとなく。朝のおかずが残っちゃったんで、ついでに」

「なにそれ、お前が作ったの?」

「そうっすよ。いらないなら別にいいっすけど」


学食ありますしねー。

そう言って足をプラプラさせている山田の、ちっこい背中を見つめた。

どういう風の吹き回しだとか思う。

でもたしかに、弁当はありがたかった。

俺は学食を使いづらい。追っかけが来るのが何よりの理由だった。

昔は購買でわざわざ食いモン買って、外で食ってたくらいだ。

今は宮埜に昼飯の用意を頼んでいる。『お金払うならまあ承諾してやろうかな』とかうざい宮埜に利子つきで金払ってまで昼飯食ってんだ。