私は、おずおずとポケットから匂い袋を取り出して、慧ちゃんに差し出した。
「匂い袋?」
慧ちゃんは、匂い袋を受け取ると鼻の近くに持っていく。
う、受け取ってくれたのかなぁ?
「あのね?それ私が調合したんだけど…………どうかなぁ?」
私は、ドキドキしながら慧ちゃんを見上げた。
慧ちゃんは、目を見開いて私を見ると直ぐに微笑んで、私を優しく撫でた。
「ありがとう
凄く良い匂いだ………お前は、調合が旨いんだな…………
大事にする…………。」
私は、その言葉に頷いた。
まただ………。
慧ちゃんは、私じゃあ無い…………
私の中の雪さんを見てるんだ…………。
きっと雪さんの匂い袋を大切に持っていたんだろうね…………。
私の匂い袋も大切にしてくれるよね?
「雪奈?どうしたんだ…………?」
慧ちゃんは、私の顔を心配そうに覗き込んだ。
「ううん、何でも無いよ!それより………
その匂い袋、紐つけてあげる………
その方が首にかけられるでしょう?」
あの時のように………。
そうだよね…………。
.