「そうか?なら気をつけろよ?」



「えぇ…………それじゃあまた明日。」



棗は、手を軽く振ると走って角を曲がっていった。



棗………あんなに急いで何かあったの?



私は、そのまま棗が行った方を眺めていた。



「雪奈?何してるんだ?上がらないのか?」



何時の間にか近くまで来ていた慧ちゃんの声に私は、少し驚いて後退りした。



それを見た慧ちゃんが少し怪訝そうな顔をした。



私ったら何驚いて後退りしてるのよ!
慧ちゃん怒らしちゃったかも?!



私は、慌てて慧ちゃんに向き直った。



「あのね!私も此処で良いの!慧ちゃんに渡したい物があっただけだから直ぐに帰るね!」



私は、早口でそれだけ言った。



「え~?!雪奈ちゃん寄っていかないの~!」



まだ門の所にいたおば様が大声を出した。



おば様、少し近所迷惑かも…………。



私は、その声に少し苦笑いを漏らす。



慧ちゃんを見ると耳を押さえておば様を睨んでいた。


それから直ぐに大きな溜め息を吐くと私に向き直った。



「渡したい物?」



「う、うん。」