「慧祐の前では、さんをつけますよ?失礼ですから…………
でも、雪奈の前では、さんをつけないほうが話やすいと思いまして
雪奈が嫌なら、さんをつけるわよ?」
棗は、少し小首を傾げた。
「ううん、それは別に良いんだけど、ややこしくならない?
だったら慧ちゃんの前でも慧祐って呼んでも大丈夫じゃあ無い?
慧ちゃんなら失礼とは、思わないと思うよ?
だから、言ってみたら良いと思うんだけど?」
私がそう言うと棗は、少し困ったような顔をして首を横に振った。
「それは、やっぱり出来ないわ………でも、確かにややこしくなるから
さんをいつもつける事にするわ………
その方が大変じゃあ無いし、口を滑らしたら大変だもの。」
そう言って棗は、少しクスクスと可笑しそうに笑った。
何だか、無理をさせた気がする………
きっと呼び捨ての方が話やすかったよね。
キュ
棗が突然私の手を掴んだ。
「ねぇ?雪奈、私そろそろ帰ろうと思うからそのまま慧祐さんに匂い袋渡してきたら?」
私は、その言葉を顔を赤らめた。
「私一人で行くのは、少し恥ずかしいんだけど。」
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