私がゆっくり慧ちゃんの方を見ると寂しいそうに私を見ていた。



「何でも無いの…………ただ誰かの優しい声が聞こえた気がしたの…………。」


私は、そう言うとまた窓の外を見つめた。



胸が暖かくなった……………懐かしくて自然に涙が溢れていたんだ。



「雪奈……………もう帰ろう。」



私は、静かに一度頷いた。


慧ちゃんが自分と私の鞄を持つとそっと私を支えてくれた。



「ありがとう…………。」


私は、微笑んだはずだが慧ちゃんは、少し不安そうな顔をしたままだった。



それから、私達はただ無言だった。



ただ慧ちゃんが私の手を引いて歩いているだけだった。



慧ちゃんには、心配をかけていると思う…………でも、何を言えば良いか分からなかった。



私は、いつも何て慧ちゃんと話していたんだろう?



私は、ただぼんやりとそんな事を思っているだけだった。



「それじゃあ、またな…………明日いつもと同じ時間に迎えに行くから
家に居てくれよ?頼むから一人で行かないでくれ。」


慧ちゃんは、私の頭を優しく撫でてくれた。



私は、静かに頷くとだけだった。