「殺されるって誰にだよ。」



何時もよりも低い声で慧ちゃんは、呟いた。



私は、静かに首を横に振った。



「分からないの………………。」



そう、分からなかった…………記憶を思い出して来ているとはいえ
千年前のそれ相応と思い出せるはずも無かった。



「…………そうか…………。」



慧ちゃんは、それだけ言うと何も言わなかった。



やっぱり何も話さなければ良かった。



自分の胸にしまっておけばよかった。



慧ちゃんに話さなければ良かった。



少し開いている窓から優しい風が入ってきた。



私の頬には、温かい雫が伝った。



なぜか凄く泣きたくなったんだ。



でも、私はその涙を拭わなかった…………拭う気になれなかった。



「雪奈……………お前どうしたんだ?!」



あれからどれくらいたったのだろう。



突然慧ちゃんが少し驚いた声を出した。



でも、私は慧ちゃんを方をなぜか見れなかった。



今は、なぜか外を見ていたかったから。



何かを思い出せると思ったから。



「雪奈……………?」