自然に私の口からは、彼女を求める声が漏れていた。


彼女は、微笑みながら一つ頷いた。



真っ黒の長い髪を靡かせ私を見つめる。



「どうして貴女は、私に思い出して欲しいの?」



『貴女が私だから思い出して欲しいの………………早く記憶を思い出さなくては、貴女が危険なの。』



私が危険?



どう言う事なのだろう?



私は、無意識のうちに首を横に傾けていた。



『貴女は、命を狙われています……………
だから、貴女には、雪の記憶を取り戻して欲しい……………
少しだけど思い出しているのでしょう?
あの愛しき人と大切な友の事を…………………
私にも、あのふたりは大切な方々…………………………私は、あの方を忘れる事が出来ない
何時までも一緒にいたい存在でした………………
だから、今度は、貴女があの方のそばにいてあげて?
あの方は、とても寂しがり屋なの………………
私は、あの方の笑顔を見ていたい…………………

だからお願い!早く思い出して!』



雪さんは、一筋の涙を流していた。



それ程までに強い思い。



私は、その思いを受け止めなくてはならない。