「雪……………!」



棗をみると目に涙を溜めて泣いていた。



棗にしても、とても大切な親友だったのね。



私の脳裏に微かに記憶が甦った。



手を繋いで楽しそうに微笑む男女の姿。



その顔は笑顔でとても、嬉しそう。



そして、邸の前で手を振るあまり表情の変わらない少女

だが、微かに笑みがあった。



この手を繋いでいる女の子は、あの夢の少女だった。


この子が私の前世の雪なんだね。



私は、一目でそう分かった。



いままで知る事の無かった私の前世の記憶…………………これから沢山の事を思い出すのであろうか?



少し怖いこと…………………だけど二人にとっては大切だった人。



私は、ギュッと更に力を加えて慧ちゃんに抱きついていた。



桜の花を見ていると何かを思い出す………………それがこれからもっと広がってくるだろう。



慧ちゃんに前よりも強く思いが広がる。



ガラガラガラ~



すると、突然、棗が泣きながら保健室から出て行った。



「棗ちゃん!」



香坂君が、その後を急いで追いかけていった。