慧ちゃんは、誰を思っているのだろう?

私は、悲しくてたまらなくなった。



カラカラ~



その時保健室の扉を開けて香坂君と棗が入ってきた。


「雪奈………………もう起きあがっても平気なの?」


「うん!平気だよ………………少し寝たら直ったから…………心配しないで?」


私は、出来るだけの笑顔を作ったつもりだったが、棗の私の見る表情は変わらなかった。



「棗ちゃん!もう良いんじゃあないかなぁ?大丈夫だって言ってるんだし。」



その言葉を聞いて棗は、香坂君を睨み付けた。



「雪奈は、私に心配させないように無理してるだけよ!何も知らないのに分かった気にならないで!あんた…………」



「棗!」



棗が何かを言いかけたのを慧ちゃんが制した。



棗が驚いて慧ちゃんを見ると黙って微かに首を振るだけだった。



一瞬棗の表情が曇ったが直ぐに香坂君の方に向き直った。



「ごめんなさい、でも大丈夫何て軽く言わないで。」


私が辛さを押さえられなかったせいでみんなに嫌な思いをさせてしまった。



本当は、夢の事で頭が一杯だった。