私の胸は自然と高鳴った。


雪って一体何の雪?



舞い散る雪?それとも……………。



これは、誰かの記憶なの?


私は、誰かに呼ばれた気がして、スッと目を開けると心配そうに私を見つめる慧ちゃんと目があった。



「大丈夫か?怖い夢でも見たのか?」



私は、首を静かに横に振った。



「何でも無いよ?大丈夫……………。」



すると慧ちゃんの手が私の頬に触れた。



「だが、泣いてる。」



そう言って涙を拭ってくれた。



私………………いつの間に泣いてたの?



「本当に大丈夫よ?泣いてた事にも気づかなかったんだから。」



私は、出来るだけ明るく微笑んだ。



本当にわからなかった。



確かにさっきの夢はとても寂しくて辛いものは有ったが泣くほどの事でも無かったはずだ。



慧ちゃんは、まだ少し心配そうに私を見つめていたが私は、ベッドから出るとそっと窓を開けた。



すると一枚の桜の花びらが私の手の中に舞い降りた。


「まるで…………雪みたい……………私の手の中でそっと溶けていくみたい。」


私は、まだ気づかなかった……………慧ちゃんが辛そうに私を見つめていたことに。