慧ちゃんは、少し目線を棗に向けた。



そうだよね…………棗も心配するよね。



「さすがにこれだけの量では、行くだけでも疲れるわよ。」



私達の視線に気づいたのかニッコリと微笑んだ。



あ、相変わらずの一言だなぁ~。



「じゃあさぁ~!直々に告白して来た奴には、会ってあげて断るってのは、どうだ?」



香坂君がニッコリと微笑んだ。



私達は、一斉に香坂君に視線を移した。



「それが良いわ!勇気があるから来るんだろうし!」


確かにそれなら大丈夫かも知れない。



「でも、失礼に値しないかなぁ?」



私が慧ちゃんの方に視線を移すと笑顔で頷いてくれた。



「それならそうするね!」


きっと私が一人なら絶対一人で行動してしまう所だったから。



「それじゃあそろそろ教室に行こう!遅刻になる。」


時計を見ると本当にギリギリになっていた。



「ヤバい!早く教室行こう!」



私達は、手紙を鞄にしまうと急いで教室を駆け上がった。



でも、微かに風と一緒に誰かに呼ばれたような気がしていた。



この時は、全く気にも止めていなかった。