毎日毎日、
電車の車内広告や
駅のポスター、
音楽番組。

至る所に翔人くんが溢れる生活。

届かなくたって
思ってるだけで幸せ。
学年が違う先輩に
片想いしてるのと同じだ。
一目見るだけで、
ラッキーだと思える。

今日も電車を待つホームで、
「Rail」の新曲を聞く。

「~♪」

「・・・ゅあっ」

ん?
なんか聞こえる??

「ゆあっっ!!」

後を向くと、
親友の莉子が立っていた。

「何回呼んでも気づかないんだもん」

そりゃそうだ。
音量を最大にして翔人くんの
美声に聞き惚れていたから。

「ごめんごめん!おはよ~」

「朝からRail?」

「もちろん♪」

莉子とはクラスメイト。
翔人くん好きを理解してくれている。
ストレートの黒髪に
ナチュラルメイク。
見るからに女子力高めの美人さん。

「結愛、あのね・・」

そう言ってカバンからなにかを取り出す。

「これ、行かない?」

そう言って取りだしたのは
音楽番組のスペシャルライブのチケットだった。