「いっくぞー! 消える魔球!」 「嘘つけー」 うはははは、と廊下に笑い声が響く。 放課後の暇を持て余して、わたし達は野球ごっこをしていた。 ピッチャーはクラスメイト。 バッターはわたし。 丸めた新聞紙のボールが投げられる。 「カキーン!」 自分で効果音をつけて、バットに見立てたほうきで打った。 ボールはピッチャーの頭上を追い越して飛んでいく。 そして――。 「あっ」 ぽすっと軽い音を立てて。 ちょうど通りかかった女子の頭にぶつかった。