~急行電車が参ります、線の内側へとお下がりください~


先頭車両が私の前を勢いよく通り過ぎ、お婆ちゃんを追い越し、その先へと向かう。

徐々にスピードが下がり、繋がって見えた車両の窓ガラスが独立する。


~沢見駅、沢見駅でございます。お降りのお客さまはお忘れ物の無いようお気をつけ下さいませ~


パラパラと人が電車から出ていく。

私は抱えているリュックサックを背負い直し、電車に乗り込んだ。


呂玉町方面に向かう電車に乗るのは久しぶりだった。


……さすがに4年もこっち方面に乗っていないなんて事はない。


いつだったかアサヒ食堂の食材配達が、頼んでいない調味料を置いていき、それを返すために沢見駅から2駅目、呂玉町方面への電車に揺られた事があった。