「こんにちは」

私は得意の営業スマイルでお婆ちゃんに挨拶した。

お婆ちゃんは一瞬、びっくりしたのか目を大きく開いた。

「どうも、こんにちは」

けど、すぐにシワくちゃな優しい顔へと変わった。


「今日も暖かい日差しですね」


19歳の女の子が言う事のないであろうセリフ。

高校中退し、家を飛び出して4年。

こんなにも老け込んでしまうものなのだろうか……。

自分で言った一言に胸を痛める。


「そうね、もうあと少しで夏だものね」


「そう、ですね」


曲がった腰を更に曲げ、お婆ちゃんは私から目を外し、ホームの先へと歩いて行った。