「お世話になりました」
私は深々と頭をさげた。
「しっかり者で、元気なサエちゃんが辞めちゃうなんて……さびしいわ」
「そんなそんな」
元同僚のおばちゃんに誉められ、慌てて顔をあげ否定する。
「私居なくてもこのお店は大丈夫ですし、綺麗ですし」
「もう、サエちゃんったら」
おばちゃんが複雑な顔で笑う。
「それにおばちゃんの笑顔には勝てませんもん」
もうサエちゃんは上手ね、とおばちゃんが私の肩をたたく。
私は持っている携帯電話に目をやった。
時間を見ると正午を過ぎようとしていたので、
私はおばちゃんに別れを告げ、バス停へと向かった。