[4]






「ここの墓地、連れてって。」

家でプリントアウトしておいた地図をそう言って渡せば白川は目を丸くした。
だが、すぐに頷くと車を発進させた。

結局、海は車から眺めただけだった。
でもそれだけでも十分だ。

エナカは遠のく海を目に焼き付ける。


「せんべいさんには、すぐバレたんですよ。」

「あんたがビートルだって?」

白川の言っていることが信じられなくて、バッとエナカは白川の方を見る。


「せんべいさんを捕まえて話聞き出そうとしたとき、彼は始終無言だったって説明したじゃないですか。あれ、嘘です。」

「せんべいが何か話したの?」

「話したというか、俺と二人きりになったら、小さな声でsomethingって曲を歌い出したんですよ。」

エナカは頭を必死に巡らせ、曲を探す。


「ビートルズの?」

「はい。俺のコードネームがビートルになったのも、せんべいさんの前で鼻歌でビートルズ歌ったからなんです。」