「サングラスかけた黒い人たちが、パトカーで追ってきたんです。」

桔梗は血まみれの手で携帯を弄り顔をしかめた。

信号無視して交差点を突っ切ったところだった。
四方八方から響くクラクションの音に琴も顔をしかめる。


「自転車拾って逃げてたんですよ。後ろ見ながら追ってくるパトカーに銃で応戦して走ってたら電柱に激突しました。」

「……かなり間抜けだし。」

桔梗も自覚していたのか、苦笑いを返してきた。


「頭クラクラして肩も撃ち抜かれて痛みで気を失いそうだったんですよ。なんとか前を見たら黒い背広着た人がいたから敵だと思って撃ちました。」

その撃たれた男は、琴を殺そうとしていた奴だろう。


「何はともあれ助かったし。お前が撃ってくれて。」

猛スピードで走り抜けていたから今どこを走っているのかなんて考えていなかった。
琴は今どこだろうな、などと考えながらも車のスピードを緩めない。