「おい桔梗!一旦休戦だし!」
圧倒的な数の敵。
対するこちらは手負い。
だったら一旦桔梗と協力した方がいいだろう。
そう、琴の結論から出た言葉だった。
顔を上げた桔梗も一瞬悩むそぶりを見せたがすぐに一つ頷いた。
琴は足を引きずりながら、桔梗は血が流れ続ける肩を庇いながら車に乗り込んだ。
琴を殺しかけた男の車だ。
車内では無線が騒々しく誰かの声を流していた。
「お前、その傷どうしたんだし。」
急発進をし座席にバフンともたれたまま琴は言う。
後ろからパトカーのサイレン音がうるさい。
グォォォとエンジンがうなる。
もっと速く。
気持ちばかり焦る。
制限速度などとっくに超えていた。