痛いのは一瞬。
衝撃も一瞬。

琥珀は死を覚悟して目をつぶった。


だが、来たのは衝撃ではなくものすごい衝突音だった。


ギギギギギギッッッ!!!!



「誰か119番!!」


人々の叫び声とタイヤのスリップ音。

事故の音だ。

だが、痛くない。
琥珀は不思議に思い目を開ける。


琥珀達に突っ込んできたはずの黒い車に、白い車が衝突していた。

助かった、と気づくと同時に、頭に何か当たった感覚がした。
上を向けば、頭上のビルから誰かが何かバラまいている。

しゃがみこみ道路に降り注ぐそれをよく見てみる。




「・・・・バナナチップス?」


琥珀の認識が間違っていなければこれはバナナチップスだ。
甘く、ほどよく固いお菓子。
だがなんでこれを頭上からふりまく必要があるのか。
わけがわからない。

「これ、バナナチップス?」

「だよね?」

「さっきホームレスみたいな人があのビルからバラまいてたの見たけど・・・」

「なんで?」

琥珀以外の人も困惑しているようだ。
だって意味が分からない。