「まぁ梔子が死んでいなかったら琴が乗り込んでナイフで喉元切って殺す。その間に俺がドアから出て柳琥珀を回収。」

「でー、閏は移動中柳琥珀が妙なことしないよう監視ー。」

「以上だ。」

なかなかアバウトな計画だが、このメンバーでは細部まで考えなくても、その状況に応じてなんとかしてしまえるのだ。
適応能力というか、踏んできた場数のおかげか。

「丁寧な説明ありがとうございます。で、話によればこの車は衝突の衝撃でかなり破損しますね。」

ゆっくりと、子どもに言い聞かせるような口調で閏は確認する。

「まぁ、かなりへこむだろうな。」

「爆発しねーの?」

「アクション映画じゃあるまいし。」

雪と琴が話すと本題からどんどんズレていってしまう。
閏は慌てて軌道修正を入れる。

「で、この車の賠償なんですけど。」

「・・・警察が。」

「しませんよ。事件の後処理はしてくれますけどそこまで面倒みてくれませんよきっと。」

雪と琴が途端に顔を固くさせた。

「この車の持ち主の女性には警察から賠償金が出ると思います。もちろん、僕らの報酬から抜かれたお金です。」

だから後で報酬がいつもより少ない、だとか文句言わないで下さいよ。
閏はそう釘をさしておく。

「まぁ、それでも半分は残るし・・・。」

琴はそう言い納得した様子だ。

「報酬どうこうよりも、これから敵になる恐れのあるメモリーズは殺しておくに越したことはないしな・・・。」

雪もそう言っている。
一応は納得したのだろう。

閏は時計を見る。
ちょうどいい頃合いだ。

「じゃあ、そろそろ行くか。」

雪の言葉に他の二人も行動を始めた。


ゆっくりと、三人を乗せた車が動きだす。