「キスして?」


背の高い、ナルの顔を覗き込んで、首に手を伸ばす。


「今?ここで?」


「うん」


少し離れたバス停に人影が見えるのを気にしながら、ナルは腰を屈める。


それを合図に、アタシも背伸びをして。


唇を重ねる。


冷たい唇…。


フワッと、アルコールの匂い。

何度目なんだろう、ナルとキスするの。


思い出せないけど…一度として、彼女として、キスしたこと


ないんだ…。