翌朝、柴田はいつも通り6時に起床し、ゴミ捨てを済ませる。前日に出されていたゴミがカラスに食い散らかされていて、ゴミ捨て場が汚い。前日にゴミを投棄する…こういった人間も柴田にとっては忌み嫌う人種だ。近所に住む老婆と一緒にゴミ捨て場の掃除をし、軽く世間話をした。やはり、この老婆から出てきた話題も近隣マナーの悪さのことだった。

老婆に別れを告げ、自宅に戻ると新聞と一緒に封筒が投函されていた。差出人は
「国家保安省…、え!?国家保安省」
聞き覚えのない省庁から届いた封筒を眺める。「また、新手の詐欺か」と思いつつも、なんとなく気になり、自分の鞄に入れた。「督促状みたいなもんだろ。よく詐欺が使う手口だ。しかしこの国に存在しない省庁からの郵便。稚拙すぎる」と一笑に付してみたが、後で読んでみるだけ読んでみようとした。