「おかえり。まぁ、座りなさい。」

「こんにちは。亜紀です。」

そう言って微笑んだ笑顔は誰かに似ていた。

でも、思い出さなかった。

この時にもし思い出したら苦しまなかったのに。

「はじめまして。真奈です。あなたが亜紀さんですか?」

「えぇ。はじめまして。」

そして他愛もない話をした。

亜紀さんの夫は亡くなってしまったそうだ。

しかも、交通事故で。

2人息子さんがいるのに1人は音信不通になっているらしい。

そして、私と同い年だと言う事も教えてもらった。

どんな人なのか気になった私は聞いてみた。

すると…

「家族思いで優しい子だったわ。」

と言われた。

きっと亜紀さんは、探しているのだろう。

その音信不通の男の子を今でも。

すると、インターホンが鳴った。

「あら、波瑠が来たのね。」

「波瑠?」

「真奈ちゃんより2こ上の男よ。」

そして、その人は私の顔を見るなり微笑んだ。

「こんにちは、オレ波瑠です。」

「真奈です。」