そして、朝起きてドアを開けるとまたあの男がいた。

「おはよ、真奈。」

馴れ馴れしく呼び捨てに呼んでくる、そう奥田君。

「おはよ。」

私は、いつ別れを切り出そうか迷っていた。

でも、早く別れたい。

いっそ、いま言ってやろうか。

「ねぇ、奥田君。」

「ん?」

「別れよ。」

「…。」

「じゃあ…」

「…ふざけんな。」

「えっ?」

「嫌だ、絶対に別れない。オレのどこが不満なの?
こんなに尽くしているのに…」

「ゴメン。」

「なぁ、言えよっ!」

急に彼は私の胸ぐらを掴んだ。

「なぁ、言えよ。オレのどこが不満なの?」

「…苦しい。」

「早く言えって。」

「…嫌だ。つか、もともと好きじゃなかったし。
もう、飽きたんだよね。正直。」

「ふーん、あのさー別れれると思ったの?」

「えっ。」

「無理だから。つか、オレに殴られたくなかったら別れれないよな?
それとも、好きな男が出来たのか?あぁ?誰だよ、そいつ。」

「できてない。」

「そっか。なら、決定!別れねーよな?」