中に入ると、お化け屋敷独特の暗闇と不気味な雰囲気がして怖い。
私は繋いでいる手に力を込めた。
すると、まるで"大丈夫"というかのように、雪君が私の手を強く握り返してくれた。
お化け屋敷はどうやら廃病院らしく、病室やナースステーションが本当の病院のようにリアルだった。
「ここの噂話って知ってる?」
噂話?
「ううん、知らない」
私が怖がっているからか、雪君が話題をふってくれたみたいだけど…なんかイヤな予感。
「ここってさ、数十年前まで本当に使われていた病院をそのままお化け屋敷にしたらしいよ?」
「ええっ!! そ、それじゃ……」
本物のゆ、ゆう…
「幽霊がマジでいるかもっていう話!」
「今言うなんてひどいよ! 余計怖くなった!!」
「アハハッ、予想通りの反応だな。 大丈夫だって! ただの噂話だから」
そんなことを言われたからか、余計にリアルに思えてきてしまった。
雪君、昔と比べると少し意地悪になったよね。
私を安心させたいのか、怖がらせたいのか、よく分かんないよ…。