「私が落としちゃったんだもん。自分で取りに行く!」

「でも……」

「平気だよ。あの木使えば取れそうだし…じゃあ、取ってくるからちょっと待っててね」

「あっ! 真白ちゃん!! 危ないよ!!」

「大丈夫だって……キャア!?」

窓に手をかけたつもりだったのにその手は空中を掴んだ。

「真白ちゃん!?」

周りの景色がスローモーションみたいに見える。


私、落ちてる…このまま死んじゃうのかな…


そう思った瞬間、強い力で止まった。


「真白ちゃん!!大丈夫!?」

上を見ると雪君が私の手を取っていた。

でも、雪君は窓から半分以上の体を乗り出して私の手を握っている。

握っている手は今にも離れてしまいそうで、震えている。

「雪君!ダメだよ!!雪君まで落ちちゃうよ!」

「大丈夫…」

「お願い、手を離して!!雪君まで落ちちゃう」

「イヤだ!! ボクは絶対にこの手を離さない!」