それにしても、なんで鈴は気まずそうにしてたのかな…。
…理由が思い浮かばない。
私の横を歩く鈴はいまだになにか言いたそうだ。
聞こうと思ったが、忍頭のいる部屋まで来てしまった。
…また後にするか。
そういえば、忍頭ってどんな人だろう…。
忍頭もつい最近代わったらしい。
先代は見たことあるが、代わってからはない。
「忍頭の佐助さんです!」
鈴が私に教えてくれた。
…ん?
佐助って聞いたことあるような…。
気付けば、一人の忍が私の前に来る。
髪は全体的には短いが、右側の横の髪は長く、髪止めで束ねてあり、黒と緑の忍装束。
……って、あれ?
もしかして、佐助って……!
「あっ梓!?お前なんでここに!?」
忍頭と思われる、忍が声をあげる。
私も彼を見て、驚く。
「え!?忍頭って……あの佐助なの!?」
そう。
その佐助という忍は梓の幼なじみ、
猿飛佐助その人だった。
…鈴が気まずそうにしてた理由がわかった。
佐助が忍頭なんて私に言えないよね。
…佐助とは犬猿の仲だもん。
「そうだ。何か悪いか?」
腕を組んで格好つける佐助。
その自慢げな態度になんかムカついた。