言葉に詰まる稚里に、してやったりな琴音の顔。


…珍しく立場逆転か。



『う、うるさいなっ!もう前髪切らないしっ、また伸ばすし!』


「えーっ!伸ばしちゃだめー!」



一気にブーイングを浴びる稚里に、俺は短いため息をついて椅子を動かした。



「稚里」


『…なに』



む、としている稚里の頭を撫でて小さく笑った。



「お前、そっちのほうがいいよ」


『……えー』


「このままの方がよく顔が見える」



短くなった前髪に触れると、さっきよりも顔を真っ赤にさせる稚里。


うわ、りんごみてぇ…。



『っあ、暁斗が言うなら…』