イメチェン……?
あたしは元の場所に戻ったハサミと稚里を交互に見やり、ある結論にたどり着いた。
「……もしかして稚里、前髪切ろうとしてた…?」
『っ!!』
またかぁっと赤くなる稚里の顔。
うそ……。絶対に前髪だけは切るのが嫌いだった稚里が…、自分から前髪を切ろうとするなんて……!!
「どっ、どうしたのっ!?熱でもあるのっ!?」
『……何でそうなるの』
顔は赤いまま、しれっとそう答える稚里にあたしは「ご、ごめん」と小さくつぶやいた。
「でも、ほんとにどうしたの?」
『……だから、イメチェンだって』
伸びきった前髪を触って口を尖らせる稚里。
なんだか子供みたいに見える稚里がかわいくて、思わず笑ってしまった。
『……何』
「ううん、何でも。あたしが前髪切ってあげるよ、稚里」
『…………』