「最初何乗るー?」




楽しげに振り向いてウキウキとする琴音。


ほんと、楽しそうだなぁ…。




『琴音は何乗りたいの?』




あたしの腕を掴んで離さない琴音にそう問い掛けると、目をキラキラと輝かせて興奮気味に「あれっ!」と指さした。




『……ジェットコースター?』




それも、一回転するやつ。


ジェットコースターからは悲鳴やら楽しげな声が聞こえてくる。


早く行こう、と言わんばかりに急かしてくる琴音に苦笑いし隼人を見た。


…ここのポジション、隼人でしょ。変わってよ…。




「行こうか、琴音」

「うん!」




あー、すごい楽しそう…。よっぽど嬉しかったんだなぁ…隼人と来れたの。




『なんか、あんな嬉しそうに笑ってる琴音初めて見たなぁ…』

「そういう意味では、来てよかったんじゃねぇの?」

『うん、そうだね』




なんだかお母さんになった気分だ。そんな感覚が抜けない自分にまた苦笑い。




「お前は、ねぇのか?」

『何が?』

「乗りたいもんとか」

『あー…うーん…。よく分かんない』




不思議そうな顔をする暁斗に笑い掛けて先を行く琴音と隼人を見つめた。




『乗りたい、って言うより琴音が楽しんでる姿を見たかったってのがあるかな』

「相変わらず、琴音中心だな」

『ほんと。そろそろ琴音離れしなきゃって思うんだけどねー…』

「無理だろ。それこそ諦めろ」

『…ひどいなぁ』




眉を垂れ下げて笑えば、ぐしゃぐしゃと頭を撫でられ口角を上げて不敵に笑う暁斗。




「無理に離れる必要なんてねぇだろ。遠くからでも見守っててやればいいんじゃね?」

『…だね』




暁斗の、言う通りだ。