蘭さんはタバコの吸殻を灰皿に押し付けて、立ち上がった。

てか保健室に灰皿って……。

しかも何本か銘柄の違う吸殻があるし……。



「さぁて。そろそろ行きますか」

『あ』

「もう終わってる頃だと思うし。もう1人のお姫様をぼっちにさせるワケにもいかないでしょ?」



クスクスと笑う蘭さんは、あたしに手を差し出した。



「行きましょうか、お姫様?」

『…やめてくださいよ。柄じゃないし』



苦笑いして、蘭さんの手を握った。

意外に手が暖かくて、何故か少し安心した。