「じゃああぁなぁ~西口ぃ~」


 僕の友人、松尾のマヌケな声が昇降口前のスペースを突き抜ける。


「じゃあな、松尾。車には精々気をつけな」


「なんだぁ、西口はいつも冷たい返事だなぁ~」


 彼に常識レベルの会話を求めるのは高校生活1年を費やしても無駄である。


「そんなんじゃあ、僕から君への恋心は冷めちゃうよぉ~」


 …………ちなみに私は同性愛には興味がない。


「気色の悪いことを言うな。はよ帰れ」


「ちぃ~、乗ってくれない…………」


 経験論から述べさせてもらうと彼は落ち込んでなどいない。


「それじゃあな」


 僕は校舎を後にする。








 高校生活2年目、9月30日が過ぎた。