「これがいい!」

お店の前で子供がだだをこねている。

「いい子にしてたらね。」
そのお母さんらしい人は困った顔をしてニッコリ微笑んでいる。


そんな親子の風景を眺めていた。
ふと周りをよく見渡すと僕らの時代とあまり変わらない人間模様が伺えた。

「どの時代に行っても、僕ら人は変わらないんだろうな。」

「そして、この時代には僕の居場所、僕を知る人は一人もいないんだなぁ。」

少しだけ僕の住んでいる時代が恋しくなった。


僕は道の先へ足を運んだ。


ほどなくして大きな駅に着いた。

僕のいた所と同じ名前の駅だったけど似ても似つかない程、綺麗な透明感のある駅に変わっていた。

そこから電車が空中へ飛び出して行くのが見える。



「こんなの、俺は嫌いだね!」
「昔のほうが良かったよ!」

突然、隣から声がした。

声のする方向へ目をやると、ボロボロの布切れを身にまとい髪の毛がボサボサでひげがボーボーのおじさんが座っていた。

「一人でいるのはとても辛い‥‥‥。」

おじさんの首もとから銀色で十字の模様が刻んである丸いペンダントがキラリと輝いた。

あれ?僕のと同じペンダントだ。
と思った瞬間、苛々した口調で僕を見て言った。

「何見てんだ!?あぁ!?」

「あんたに俺の気持ちが分かるか?分かるはずがねぇぇ。」

「ん?おまえ‥‥‥。」


僕は怖くなってその場から逃げ出した。

少し走ったところでふと振り向きそのおじさんを見たが、もうどこにもその姿はなかった。

僕は急いでタイムマシンが置いてある所まで戻っていった。