「――それでは、 始めて下さい」 試験開始の号令を聞いても 私は抜け殻みたいな状態だった。 問題を読む気にも 解く気にもならない。 『試験合格して地元帰れば きっと忘れられるよ!』 私を元気づけるため 試験前に祐美が言ってくれた。 ごめん、祐美…… 私は落ちちゃうかも。 だって、問題を読もうとしても 目が霞んで…… そう思うのと同時に 私の体はぐらりと傾き、 大きな音を立てて床に倒れた。 「美子……!!」 祐美の声が聞こえた気がしたけど 私は意識を手放した。