―――――ボコッ!
鈍い音とともにあたしはその場に倒れ頭を打った。
集団の中の一人の大きなこぶしがあたしの左のほっぺたを直撃したのだ。
「ったぁ…」
「瑠奈っ!」
優のあたしを心配してくれる声もだんだん遠のいていく。
さっき頭を打ったときに後頭部を打ったからかな…
あぁ、優があたしを呼んでる。
優を…優を助けなきゃ……・・・
そこまでは覚えている。
ここまでしか、あたしの記憶に無いのだ。
「……な…る……な…………瑠奈…」
この声は…?
あたしはゆっくり目を開けた。
「瑠奈!!!!!!良かったぁぁぁ」
安心した表情を見せ、あたしの寝ているベッドに伏せた。
ここはどこ?
どうしてここのいるの?
この子はだれ?
「ここは…?」
「病院だよ。あっ!そうそう…自分の名前は分かりますか?」
「名前…?えぇと、えぇっと…」
さっきこの子はあたしのことなんて呼んでたっけ…
「分かんない…」