「優~、お待たせ~」
人の塊の中から啓君が、ヘロヘロになって出てきた。
優の名前しか言ってくれなかった事にに少し複雑な気持ちになった。
「ありがとぉ~♥で、優は何組?」
「優は、1組!俺と同クラだよ!!!」
そう言って、ニッと白い歯を出して笑った。
恋してるような…そんな笑顔。
「マジでぇ~!?超嬉しぃ~♥」
そう言って、柔らかく笑った。
大好きな人に向けるような…そんな笑顔。
啓君と優が付き合ってるというのは、とっても納得できる。
ビジュアル的にも、抜群に良い二人だもん。
でも優は、どんな友達にでも、自分の好きな人に気を寄せる女が大っ嫌いだ。
そんな優が、あたしを応援するわけがない。
「瑠奈は、2組だった」
啓君の声で、我に返る。
「そっか~、離れちゃったね。見てきてくれてありがとうね!」
そう言って、控えめに笑った。
少し切ないような…そんな笑顔。
君は、そんなあたしに気づいてくれましたか?
君は、そんなあたしに少しでも心は動きましたか?
君は、そんなあたしを可愛いと思ってくれましたか?
君は、たった一瞬でもあたしを好きだと想ってくれましたか?
あたしは今、君に恋しています。