「それはマカがよく言っていたな」

シキは皮肉めいた笑みを浮かべた。

「『下手な人成らざるモノより、普通の人間の方が恐ろしく思う時がある』と、口癖のように言っていた」

「彼女、苦労性みたいだね」

コウガは以前、ほんの僅かな時だがマカと接触した。

その後シキからマカのことを聞き、気の毒に思ってしまった。

シキと同じ血族として同属をまとめ、そして人間との接し方でいろいろと悩んでいるらしい。

しかも問題はいつも、彼女の近くで起こる。

そのことをシキは、マカ自身のせいだと言っていたが…。

「さっきの写真、シキは何か感じた?」

「いや? 特におかしなところは感じられなかった。ただ人が撮った普通の写真だろう」

「死体の写真は『普通』とは言わないんだけどね…」

コウガはスッと眼を細めた。

シキもそうだが、コウガもあの写真が本物であることを気づいていた。