ある日、私が、不用心にも学校のグランドでつまずき、制服にたくさんの砂をつけてしまったのです。当然、伯母に怒られると思い、恐る恐る、家に帰ると、意外な事に、伯母は私を見つめこう言うのです。
 「まあ、こんなに汚して。砂もぐれ太郎さんだね。これだから男の子は。泥んこになって遊ぶんだから、男の子は。本当に砂もぐれ太郎さんになって」
 そう言う伯母の顔はなんとも言えず、うれしそうで、輝きに満ちていました。
 「早く、脱いで。明日も着て行くんだから。さあ、洗濯、洗濯」洗濯をするのなら、そんなに、はたかなくてもいいのではと、私は思いましたが、伯母は制服を着ている私を、何度も、何度も、はたいてから、制服を脱がし、洗濯機に向かいました。
 そして、その夜、隣の部屋から伯母のうれしそうな声が聞こえてきたのです。