その夜、私の眠る部屋の横で「やっぱり男の子ね。きれいに食べていたわ。あれでは足りないのかもしれないわね」と自慢気に伯父に話して聞かせる伯母の声が聞こえ、私はゾッとしました。
 これは本当の事を言わなければ。あれ以上にでかい弁当を作られては堪らぬと思い、そっと伯父と伯母のいる部屋を覗いた時に、私は、ついに見てしまったのです。
 鼻の穴を膨らまし、フフーンと誇らしげな顔をしている伯母の顔。
そう、このお顔なのです。このお顔こそが、私に安らぎを与える、例のお顔なのです。
 ああ、私は人を満足させたのだ。しみじみ、そう思うと、静かに戸を閉め、なぜか手を合わせた後に、安堵感に包まれて眠りました。
思えば、この夜が、生まれて初めての熟睡した夜だったような気がします。