「少し、長すぎました。
こんなあたしの話、退屈でしたよね。
すいません。
それでは最後に。
在校生のみなさん、先生方、父兄の方々。
卒業生を代表してこのあたしが一言お礼申し上げます。
3年間、ありがとうございました。」
あたしは深々とお辞儀をした。
ほんの数秒の沈黙のあと、あたしは大拍手を浴びた。
たぶん、こんなにもすごい拍手をもらうことなんて、
これが最初で最後だろう。
あたしは最後にもう1度お辞儀をした。
そして舞台から降りた。
また父兄席に目を向けた。
兄貴は満足そうに微笑んでいた。
でもその目にかすかに涙があった気がする。
『お疲れ、夏希。』
自分の席へ戻る途中、桐ちゃんの前を通った。
そうすると桐ちゃんは一瞬、あたしの肩に手を置いてそう囁いた。