―Side 龍貴―



「あっ!夏希だ!!」


スピーカーから夏希の声が聞こえると興奮気味に陽菜は叫んだ。



「「キャァー!!!」」


どこからともなく聞こえる黄色い声。


こういう声ってイケメンが現れたときに聞こえるもんじゃないのか?


今なんてただ、夏希の声が聞こえただけだぞ??



なんで歓声……??


「桐ちゃん。知らないの??


夏希のファンってめちゃめちゃ多いんだよ?


だから、この歓声は当たり前。」


陽菜が俺に寄ってきた。


女にモテる女子は


男にもモテるんだよ??


と、最後に小声で囁いた陽菜。


で、何が言いたいんだ??


俺に、ライバルが多いとでも言いたいのか??



俺は軽く陽菜を睨む。


コイツに何を言ってもムダだろうな。



と、考えた俺は黙って夏希のあいさつを聞くことにした。