「大ちゃんって不器用そうだよね。


頼ることを知らない、不器用な人っぽい。」


陽菜は真顔で言う。



俺はなんて言っていいか分からなくて黙り込んだ。



だってそれは陽菜の言うとおりだから。



俺は人の優しさに頼るのがイヤだ。



いつでも格好いいヤツでいたかったから。



「夏希と同じだよ。


私だって初めからこんな風に人の考えてること分かったワケじゃない。



夏希と一緒にいたら自然と身に付いてたね、うん。



大人で格好良くて誰にも頼ろうとしなくて…。



今回の肘の件だってそう。


私、全然気づかなかった。



たださ、夏希の異変に気づいた人が１人だけいたんだよ。」



陽菜はふぅ～と息を吐き出した。



そして俺には分かった。



その、たった１人だけ夏希の異変に気がついた人が誰なのか。




悔しいけど、




その人しかあり得ない。