「まあ抱きしめるっていうのはなしかな?」


陽菜はそう言って傍にあったベンチに座った。



俺はどうすることもできなくてただ、その場所に立っていた。



「夏希がどういう子か分かって抱きしめてた??」


陽菜の質問に俺は静かに頷いた。



夏希が受け止めてくれることくらい、分かってた。



決して俺を拒んだりしないことは分かってた。


だから、俺は夏希を抱きしめたんだ。



こんなことを計算して抱きしめてしまった俺は、






最低なんだ…。



「大ちゃん、そんなに夏希のこと好きなんだ。」


陽菜はそう言ってクスッと笑った。



どうして笑うんだ…?


人を好きになることは笑われるような恥ずかしいことなのか…??


「別にいいんだよ?

誰をどれだけ愛したって。


ただ、大ちゃんって軽そうに見えるから。」



俺が…?



軽そうに見える…??



こんな風に本当の自分を隠してるのに…?



一応、すっげぇ真面目を装ってるんだけど……。