『ごめん、ありがとう。』


それから1分以上経ったあと、
大ちゃんはあたしからゆっくりと離れた。


『俺、ウソついた。


たぶん夏希のこと諦められないと思う。



もう”好きだ”って言わないから

好きでいさせて………。』


大ちゃんの弱々しい声。


あたしは黙って頷く。


「好きでいるのは人の自由。


誰を愛そうが人は文句を言えない。



そんなもんじゃない??」



振り向いたあたし。


大ちゃんは俯いていた。


『夏希、ホントにありがとう。』


顔を上げた大ちゃんの目にうっすらと涙が見えたのは気のせいだろうか…?


「これからもよろしくね?」


あたしは手を差し出す。



大ちゃんはあたしの手をギュッと握り


『よろしく。』


と、言った。