『やっぱり僕が惚れた人だけありますね。


僕の期待してた答えでした。



もし、諦めるって言ってたら夏希は危なかったですね。』



そう言って大ちゃんは起きあがって
怪しい笑みを浮かべる。


”危ない”ってなにが…??


首を傾げるあたし。


そんなあたしに近づく大ちゃん。



『冗談ですよ、冗談。


でも最後にこれだけは許して下さい。』


と言った大ちゃんはしっかりした腕であたしを引き寄せた。




………………………?!?!?!



この状況…なんですか?


さっきのムード、どこへ行った…?


『1分だけ…1分だけこのままでいさせて。


俺、これで諦められるから…。』


またさっきの口調に戻った大ちゃん。


そしてあたし、大ちゃんにまた抱きしめられてます。



でもあたしは大ちゃんから離れなかった。


大ちゃんはギュッと抱きしめるワケじゃなく、

ただあたしを優しく包んでくれていた。



大ちゃんの腕を振り払うのは簡単なこと。



それでもあたしは振り払わなかった。



なんでだろう…?


自分でもよく分からないけど、
振り払うことだけはできなかった。