『僕が夏希の心の中に入る隙間なんて1ミリもない。


あるワケがない。


ってかあったら困ります。


そしたら僕の思う夏希じゃなくなりますから。』


大ちゃんはそう言ってフッと笑った。


そこって笑うところなのかな…?


あたしはさっきまで自分が立っていたグラウンドを見つめる。


『夏希?


夏希がしている恋は辛いと思いますよ?



僕と同じくらい辛いですよ??


それでもその人が好きですか…??』



大ちゃんは空を仰ぐ。



あたしは立ち上がった。



まだ少し痛む肘に手を当てながら答えた。



「うん、好きだよ。


辛くても好きなもんは好き。



好きな食べ物を嫌いになんかなれないでしょ?


それと同じ。


あたしには大ちゃんみたいに告白なんてする勇気ないから


このまま


”叶わない恋”


で終わると思うんだ。


それでも、



それでもいい。



見てるだけの恋でもいいんだ。」



あたしはそう言って大ちゃんに満面の笑みを見せた。


これがあたしから大ちゃんへの精一杯の恩返し。



これで諦めるなんて言ったら、
大ちゃんが報われないでしょ??